ごきげんさまです。感護師つぼ(@cango_shi)です。
看護師の可能性を拓くのに、すでに新しい道を切り拓いている方々の活動を知ることが第一歩だと思っています。
2023年5月12日に、スイスの赤十字国際委員会のフローレンス・ナイチンゲール記章選考委員会より「第49回フローレンス・ナイチンゲール記章」受賞者が発表されました。今回、世界22の国と地域から選ばれた37名の中から日本人は3名。以前、紹介させて頂いた草間朋子先生に加えて、髙原美貴(たかはら・みき)さん、今村節子(いまむら・せつこ)さんの3名です。今回は、髙原美貴さんを取り上げます!
この受賞で、日本人受賞者は115名となり、世界最多になっています。(1920年年からの受賞者総数は1,580名)
写真は日赤のPRより拝借
髙原 美貴 (たかはら みき)
【所属・肩書】日本赤十字社
姫路赤十字病院 看護副部長
【出 身】長崎大学国際健康開発研究科
【資 格】看護師
【専 門】国際看護、災害看護
【実 績】第49回フローレンス・ナイチンゲール記章
ユニークキャリア
髙原美貴さんは兵庫県出身、現在も同県在住の看護師で、姫路赤十字病院の看護副部長を務めています。彼女の活動は地域や国境を超え、その献身的な奉仕は世界各地で認識されています。
髙原さんのキャリアは、1999年のスーダン紛争で救援活動に参加して以来、11か国での17回の国際救援活動という圧倒的な経験を持つ。日本国内でもさまざまな災害時に救護活動に従事し、新型コロナウイルス感染症の拡大時には、地元行政や関係機関と連携し、感染制御のための宿泊療養体制の構築に尽力した。
被災地に赴くと、まず現地のニーズを把握するために情報収集とアセスメントを行い、その結果をもとに適切な支援を実施します。また、救援者としての自身の役割を理解し、現地の人々の文化や価値観を尊重しながら、持続可能な支援体制を構築するための調整や交渉にも長けています。
その一例として、2002年に参加したアフガニスタン紛争救援では、地雷により損傷を受けた遺体を「整体」し、家族に引き渡す技術を現地の病院スタッフに教授しました。これは、日本赤十字社が行っている、故人とその家族に対する敬意を表す活動で、髙原さんはそれを自身の経験と現地の宗教や文化を尊重する形で実践しました。
髙原さんの看護師としてのキャリアは、救援活動の現場での彼女の卓越した能力と献身的な奉仕を物語っています。その活動は、看護の領域を超えて多くの人々に影響を与えており、その功績が「第49回フローレンス・ナイチンゲール記章」の受賞につながったのです。
フローレンス・ナイチンゲール記章
フローレンス・ナイチンゲール記章は、その名の通り、看護の始祖とされるフローレンス・ナイチンゲール氏を記念して創設されました。1907年および1912年の赤十字国際会議にて、顕著な功績を挙げた看護師を顕彰するために授与することが決定され、1920年、ナイチンゲール氏の生誕100周年を記念して初めて授与されました。
この記章は、鍍銀製のアーモンド型メダルで、表面にはフローレンス・ナイチンゲール氏の像とその生涯を示す「1820~1910年フローレンス・ナイチンゲール氏記念」の文字があり、裏面には受章者の名前と「博愛の功徳を顕揚し、これを永遠に世界に伝える」というラテン語の言葉が刻まれています。
この記章は、平和時もしくは戦時において顕著な働きを見せた保健師、助産師、看護師、または篤志看護補助者を対象としています。その資格は以下のいずれかを満たしていることが求められます。
- 傷病者や障がい者、または紛争や災害による犠牲者に対して、果敢に献身的な看護活動に従事した者。または公衆衛生や看護教育の分野で、模範となるような活動に従事した者。
- 国内災害救護、国際活動等の事業において、果敢かつ献身的に活動し、推薦に値すると判断される者。
- 献血思想の普及啓発、老人看護及び障がい者への理解促進を含む保健衛生活動、看護教育活動、救急法等講習普及事業等においても、献身的に永年その業務に携わり、その実績から高い評価を得られると判断される者。
フローレンス・ナイチンゲール記章は、看護師の中でも特に優れた業績を上げ、人々の生活と健康を向上させるために献身的に活動する人々への最高の賛辞とされています。その受賞者たちは、看護師としての専門性と人間性、そして社会への奉仕を通じて、人々の健康と生活の質を向上させるために特筆すべき業績を上げてきました。
その受賞者たちは、その名が示す通り、フローレンス・ナイチンゲールの精神を継承し、その理念を現代社会において体現しています。彼女たちは、困難な状況下でも個々の患者に対して最高のケアを提供し、感染症の予防と管理、病気の早期発見と予防、健康教育、そして看護職の尊厳と価値を高めるために、自身のスキルと知識を用いています。
フローレンス・ナイチンゲール記章の受章者たちは、看護の価値を世界に広め、看護師が果たす役割を認識させることによって、全世界の健康の向上に貢献しています。その業績は、看護師としての専門性、献身性、そして人間性の最高の象徴とも言えます。
フローレンス・ナイチンゲール記章の受章は、一人ひとりの看護師が可能性として持つ力を示し、看護師が社会全体の健康と福祉にどのように寄与できるかを示す強力なメッセージを送っています。これは看護師自身、またそれを目指す人々にとって、看護の専門性と責任を認識し、それを追求するための大きな刺激となります。