ごきげんさまです。感護師つぼ(@cango_shi)です。
看護師の可能性を拓くのに、すでに新しい道を切り拓いている方々の活動を知ることが第一歩だと思っています。
2023年6月、来月から某月刊看護雑誌で「社会を変える看護イノベーションの実際」に関する連載がスタートします。2022年4月から大手前大学でイノベーション看護に関する授業を担当させて頂いたことがきっかけです。連載するのにあたって、最近の看護とイノベーションに関する論文を探していた時に、懐かしい名前を発見しました。
慶應義塾大学看護医療学部の後輩で、MBAをとった後に経営者ではなく、経営学者の道を進んでいった阿部真美さんです。
懐かしくなったので、取り上げました!
ちなみに、みつけた論文はこちら⇒なぜイノベーションは拡散しないのか?: 専門家組織のもつ境界 赤門マネジメントレビュー
写真は、臨床+αより拝借
阿部 (鶴)真美(あべ まさみ)旧姓(つる まさみ)
【所属・肩書】東京大学大学院経済学研究科 経営教育研究センター ものづくり経営研究センター 特任助教
上智大学 非常勤講師
【出 身】慶應義塾大学看護医療学部、慶應義塾大学MBA、東京大学経営専攻 博士課程 単位取得退学
【教 育】上智大学
【専 門】組織学、経営学
【経 験】多摩大学 医療・介護ソリューション研究所 リサーチフェロー,Novena Medical Centre
一般社団法人 臨床プラスアルファ 理事
【臨 床】国家公務員共済組合連合会 虎の門病院循環器センター
【資 格】看護師、保健師
【実 績】若手研究 守田科学研究奨励賞 優秀賞 一般社団法人 大学女性協会
ユニークキャリア
看護師と経営学の専門家は、一見すると無関係な職業に見えるかもしれませんが、阿部真美さんはその両方を兼ね備えています。彼女は看護師のバックグラウンドを持ちながら、経営学においても高い評価を受けている専門家です。
阿部真美さんは、慶應義塾大学で看護学士を取得した後、看護師の臨床経験を経た後に、同大学の大学院で経営学修士号(MBA)を取得しました。さらに東京大学大学院の経営専攻博士課程に進み、単位取得退学となりますが、その学びを経営学の世界で活かすことになります。
看護師が、上智大学で教鞭をとっていると看護学部のことが多いのですが、阿部真美さんは、経営学部で経営学を教えています。看護師のバックグラウンドをもつ経営学のプロというのが、彼女のユニークなところです。
ユニークな背景
阿部真美さんは、看護師の経験を持ちながら、経営学の専門家として活躍しています。彼女がこのユニークなキャリアを選んだ理由は、幼少期からの家庭環境、大学での学び、留学経験、そして臨床現場での経験が大きく影響しています。本記事では、阿部さんがなぜ看護師から経営学への道を選んだのか、その経緯を紹介します。
看護師の世界に入ったきっかけとGO OUTの経緯
阿部さんは、管理栄養士である母の影響を受け、健康促進に携わる保健師を目指して大学に入学しました。大学では、医療政策や医療経済、世界の医療保険制度などを学び、医療政策・マネジメントの奥深さと面白さに魅了されました。大学4年次の夏にイギリスへ短期留学し、上級看護師が専門性を活かした看護活動や地域包括医療システムを学びました。この経験から、海外の医療提供状況に興味を持ち、臨床経験を積んだ後に医療政策・マネジメントに関わりたいと考えるようになりました。大学卒業後、阿部さんは看護師として虎の門病院の循環器センターで3年間経験を積みました。そこで、若い同僚が次々と心身の不調に陥る状況を目の当たりにし、労働環境整備に関心を持つようになりました。また、全国の看護師2万人が過労死レベルにあること、妊娠しても3人に1人が流産予備軍である実態を知り、医療政策・マネジメントの必要性を再認識しました。
GO OUTのきっかけ
阿部真美さんは、看護師から経営学の専門家へと転身し、独自のキャリアを築いています。そんな彼女がユニークな道を選んだきっかけは、海外転勤や帰国時のタイミング、そして幅広い知識を身につけたいという思いが大きく関係しています。
看護師4年目の時、研究者である夫の海外転勤でシンガポールに移住する機会がありました。シンガポールは医療ハブ国を目指しており、阿部さんは現地の医療の仕組みに興味を持ちました。派遣看護師・保健師として働きながら、米国正看護師養成テキストを使って医療英語を勉強し、シンガポールの医療機関で看護兼通訳の仕事に就くことができました。
翌年、個人的な都合で帰国した阿部さんは、慶應義塾大学大学院のMBA養成課程に出願・受験し進学しました。彼女が医療系大学院ではなくMBA課程を選んだ理由は、慶應大学で医療マネジメント・医療政策を研究している先生方を知っていたこと、そして医療業界を変えていくために幅広く社会の仕組みや一般企業の考え方・マネジメントの方法を学びたいと考えたからです。
阿部真美さんがユニークなキャリアを選んだきっかけは、夫の海外転勤でシンガポールに移住したことで、新たな挑戦として看護兼通訳の仕事に就きました。その後、医療業界の変革を目指し、慶應義塾大学大学院のMBA養成課程に進学し、経営学の道へと進んだのです。彼女の経験は、異なる分野での学びや挑戦が、新たな視点や可能性を生むことを示しています。