ごきげんさまです。感護師つぼ(@cango_shi)です。
看護師の可能性を拓くのに、すでに新しい道を切り拓いている方々の活動を知ることが第一歩だと思っています。
そして、看護師の新しい働き方を切り拓いて開拓していった方々を知ることによって、新しいキャリアの切り拓き方が分かると考えています。そのようなことといったら、民間資格としてではなく、国の制度として特定看護師制度を導入していった草間朋子先生が大切だと考えて取り上げさせて頂きました。
2023/5/15加筆 第49回フローレンス・ナイチンゲール記章受賞!につき、大幅加筆
草間 朋子 (くさま ともこ)
【所属・肩書】
東京医療保健大学 名誉教授
大分県立看護科学大学 名誉学長
【出 身】東京大学医学部衛生看護学科卒業
【資 格】看護師
【教 育】東京大学医学部・大分県立看護科学大学・東京医療保健大学
【専 門】看護教育学、看護政策、放射線防護学、放射線影響学
【実 績】第49回フローレンス・ナイチンゲール記章
1965年 | 東京大学医学部衛生看護学科卒業 |
1986年 | 東京大学医学部放射線健康管理学教室 助教授 |
1998年 | 大分県立看護科学大学 学長 |
1998年~2000年 | 国際放射線防護学会副会長 日本保健物理学会会長 |
2004年~2006年 | 日本看護科学学会理事 |
2006年~2012年 2006年~2011年 | 日本看護協会副会長 日本学術会議連携会員 |
2010年~ | 東京医療保健大学 副学長 |
2014年 | 日本看護連盟 12代会長 |
2016年 | 日本NP学会理事長 |
ユニークキャリア
東京大学出身の草間朋子さんは、臨床現場から少し離れた位置で、看護の進歩に尽力してきました。大学卒業後すぐに医学部の放射線健康管理学教室に入局し、助教授まで務めた後、特定看護師の仕組みを創り上げました。その後、高度な看護教育の必要性を説きながら、特定看護師の仕組みを大分の医療特区で実践、大分県立看護科学大学学長として多くの成果を挙げてきました。
そして、今回、草間さんの長年の業績が高く評価され、第49回フローレンス・ナイチンゲール記章を受賞しました。これは、草間さんが看護職の枠を超えて社会に影響を与え、その活動が国際的に認知された証と言えるでしょう。
2011年の東日本大震災と原子力発電所事故を通じて、草間さんは看護職が放射線被災者に対する支援を果たす上で、放射線の知識が重要であることを痛感しました。それをきっかけに一般社団法人日本放射線看護学会を設立し、放射線看護活動を国際的に推進してきました。
原子力災害が発生した際には、放射線看護専門看護師を活用した原子力災害保健支援チーム(NuHAT)を設立し、長期的な支援体制を構築しました。また、看護基礎教育に放射線看護科目を導入(2017年)し、放射線防護関連法令に「女性作業者の線量限度」を設定(2021年)するなど、放射線防護・安全に関する専門知識を有する看護職の地位を確立しました。
さらに、草間さんは日本版の診療看護師(Nurse Practitioner)の養成にも尽力し、一般社団法人日本診療看護師教育大学院協議会を設立。看護職の自律を目指した看護教育の具現化にも尽力しました。草間さんの活動は、看護職が単に患者のケアを提供するだけでなく、被災者に寄り添い、放射線防護・安全についての専門知識を持つことの重要性を示しています。
草間朋子さんのこれらの業績は、看護職の可能性を拡大し、医療界に新たな視点をもたらしたと言えるでしょう。特に、放射線看護という新たな分野を開拓し、その教育体制を確立した功績は、広く評価されています。
彼女の活動は、看護職が社会における重要な役割を果たすことを示しており、その価値を国際的に認知されたことは、看護職自体の地位向上にも寄与しています。これからも草間さんのような先見の明を持った看護職が増えていくことを期待しています。
これからも草間朋子さんの一層の活躍に注目していきたいと思います。
執筆実績
東京医療保健大学
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