ごきげんさまです。日本男性看護師会発起人の坪田康佑こと、感護師つぼ(@cango_shi)です。
お陰様で、今年も日本男性看護師会あてに「令和 5 年度看護関係予算概算要求」が行われる「看護問題小委員会」の招聘を頂きました。
日本男性看護師会の会員の皆様から頂いて、提出した要望書に関して発表して参りました。
※こちら坪田個人が好き勝手書いているサイトです。
公式報告は、こちらです。⇒厚生労働部会 看護問題小委員会 令和5年度看護関係予算概算要求
国会議員の方々、厚生労働省及び文部科学省の課長から局長、日本看護協会や看護連盟・助産師協会などの役員の皆様がたの前での発表は、久しぶりに緊張して、手と声が震えました。
要望1)医療従事者の職場安全体制の構築
理由)COVID19以降患者からの医療者への暴力が顕著に増えてきている。医学雑誌LANCETでも、取り上げられた。(※)日本国内においても、2022年1月27日には在宅診療医が散弾銃に撃たれる事件が、同月29日には島根県にて院内暴力による逮捕事件と多発しています。過去にも2019年8月9日愛媛県医療法人誓生会松風病院にて、男性看護師三名が医療保護入院していた患者より刺殺されるという悲しい事件が起きました。女性が多い職場である看護の現場では、暴力的な患者さんやご家族さんの対応等に、男性看護師が対応することが多いです。看護師を筆頭とする医療従事者が本来の業務である看護や関連業務に専念することができるように医療従事者の安全に関する体制を作成して頂きたく願います。また、現在存在する医療安全の定義は、感染症や医療事故にしか対応していません。一医療従事者の健康及び命を護れるような定義に要件を増やすようにして頂くよう願います。 ※Violence against health workers rises during COVID-19,THE LANCET,Volume400,Issue 10349,30July-5August 2022,Page348
訪問看護の団体からも、在宅医療現場の安全性に関しての要望があげられておりました。
また、国会議員の先生にもパワハラ問題として取り上げて頂きました。
厚生労働省の回答として、厚労省が作成した患者パワハラ対策のeラーニングに関して紹介されました。
日本男性看護師会としては、2019年の刺殺事件から訴え続けてきていたことなので、「それだけじゃ足りないんだよぁ」という気持ちが出てきましたが、一方で、要望を出すだけでeラーニングの普及支援など厚労省の現状の活動の支援をしていなかった自己に反省しました。改めて日本男性看護師会に持ち帰って、自分たちとしても出来ることは何か?厚労省と協業できることはないのか?相談してみようと思いました。
要望2)203030目標の修正~2030年までの指導者の異性割合が30%を目指す~
理由)2020年12月に閣議決定された第5次男女共同基本計画において「2030年代には、誰もが性別を意識することなく活躍でき、指導的地位にある人々の性別に偏りがないような社会となることを目指す。」としました。その際の具体的目標が『女性』の割合が30%と書かれています。看護界や保育など、指導的地位にある人々の性別は女性に偏りがある業界があります。この目標では、目的である『性別に偏りがない社会』と乖離がありますので、『女性』ではなく、『異性』の割が30%程度になるように提言をお願いします。
特に、203030に関して、2030年までに指導者の女性割合が30%を目指すではなく【異性割合】に変更してほしい!と発表する時は、男性看護師の全体割合がまだ10%にも達していないのに、この要求をあげるのは、男性看護師を優遇して欲しいということと同義語になるのではないか?と発表中に考えてしまって、声が震えてしまいました。
要望3)感染症による受験できない看護師国家試験の追試験予算確保
理由)新型コロナウイルスの影響により、第110回・111回看護師国家試験を受けることが出来ない看護学生がいました。看護学生は、他の医療系学生と異なり、准看護師や看護助手として医療現場で勤務しているために新型コロナウイルスにかかった学生がいました。個人の責任ではない、労災認定になるケースであるのに、試験が受けられませんでした。
コロナ渦においての看護師国家試験に関しての要望に関しては、国会議員の先生方にも取り上げて頂きました。
試験会場の問題で、福岡の看護学生が熊本で受験。熊本の看護学生が福岡で受験といった国家試験の追試だけではなく、当日のオペレーションに関してもご指摘のお話があがっていて、改めてコロナ渦での国家試験の運用の難しさを体感してきました。
要望4)看護学校のパワーハラスメント対策
理由)2019年に北海道立高等看護学院にて、男性看護学生が自殺をしました。2022年には新たにパワーハラスメント(以後、パワハラ)の第三者調査委員会が設置され、パワハラの実態が明らかになりました。同様に、北海道立紋別高等看護学院、木更津看護学院と看護教育現場でパワハラが問題になっていることが明らかになっています。実態調査とその対策を求めます。
国会議員の先生にも看護のパワハラ問題として取り上げて頂きました。
今回から、「一般財団法人 日本看護学教育評価機構」が看護系団体として参加されたので、他の団体とコラボレーションして何か対策を創れないのか?改めて考えていこうと思いました。
要望5)看護師のXR教育推進
理由)コロナ渦において、新人だけでなく異動者・復職者の職場内教育が難しくなってきて、教育により時間がかかっています。また、2024年の医師の働き方改革のために、看護師への業務のタスクシフティングのための新たな教育体制が必要となっています。従来の教育体制ではなく、新たな体制が必要となることから、看護職員研修ガイドラインの改定や新規のXR技術を用いた看護研修の推進などを要望いたします。
一般社団法人日本看護学校協議会からも「シミュレーション教育等の予算措置」としてVRを活用した教育を提案されておりましたので、男性看護学生は、女性患者さんから学ぶ機会がないことがあるので、XRを活用する重要性を再び追加して訴えさせて頂きました。