ごきげんさまです。感護師つぼ（@cango_shi）です。
看護師の可能性を拓くのに、すでに新しい道を切り拓いている方々の活動を知ることが第一歩だと思っています。
今日は、ナイチンゲールの誕生日、看護の日ですね。 クリミア戦争で活躍して、もう一人のナイチンゲールと呼ばれたメアリ・シーコールさんを本日は取り上げます！
ちなみに、今ロンドンの聖トマス病院の前には、ナイチンゲール像じゃなく、メアリ・シーコールさんの像がたっています。
ちなみにナイチンゲールの誕生日の2日後の５月１４日に亡くなられた方なので、気になられた方は、５月１４日に思い出してみてください。
メアリ・ジェーン・シーコール（1805 - 1881）
【肩 書】メアリ・シーコール財団の祖
【出 身】ジャマイカ・キングストン
【臨 床】クリミア戦争など
【資 格】看護師
ユニークキャリア
メアリ・ジェーン・シーコール（Mary Jane Seacole、1805年 - 1881年5月14日）は、ヴィクトリア時代のイギリスで活躍したジャマイカ出身のクレオール女性であり、看護師です。
メアリーは、ジャマイカ・キングストンでスコットランド出身の父とジャマイカ人の母の間に生まれました。彼女は幼少期から母親の医療実践を間近に見て育ち、伝統的な薬草や治療法を学びました。この経験が後に彼女の看護師としての道を形成することになります。
メアリーは20代から医療に携わり、黄熱病やコレラといった感染病の治療に専門的な知識を身につけました。彼女はパナマで独自の治療法を用いて人々を助け、負傷兵や病人の看護に取り組みました。
1854年、クリミア戦争が勃発すると、メアリーは自らの能力を活かすためにイギリス軍でボランティアの看護師として参加したいという思いを抱きました。しかし、当時のイギリス社会では人種や性別に基づく差別が存在し、彼女の申し出は何度も拒否されました。それでもメアリーは諦めず、自身で渡航費を工面し、クリミア戦争の戦場に赴きました。
クリミア戦争において、メアリーはバラクラヴァの前線に近い場所でホテルや食堂を開業し、兵士たちの看護やケアを提供しました。彼女は地位や国籍に関わらず、戦傷を負った兵士たちを救うために奔走しました。
メアリーの勇気と奉仕の精神は、戦地での看護実践において大きな評価を受けました。彼女の明るさと人柄は多くの人々に愛され、「Mother Seacole」と呼ばれるようになりました。しかし、クリミア戦争後はメアリーの業績は忘れられ、長い間その名前は知られることはありませんでした。しかし、近年にな
り、メアリ・ジェーン・シーコールの業績が再評価されています。彼女の勇気と奉仕の精神は、人種的な偏見に立ち向かいながら、クリミア戦争での負傷者の救援に尽力したことを示しています。
メアリーの戦場での看護活動は、ナイチンゲールの看護師団とは異なり、前線で行われました。彼女は敵味方を問わず、多くの負傷者を救助しました。メアリーの存在は、戦場の医療環境の改善と負傷者の救援に対する意識を高める役割を果たしました。
また、メアリーの看護実践には、彼女が母親から学んだ伝統的な薬草や治療法も取り入れられていました。彼女の独自のアプローチは、多くの患者に効果をもたらし、彼女の治療は広く認められました。
メアリーは、黄熱病やコレラの治療においても優れた成果を上げました。彼女は自己学習によって医療知識を習得し、患者のために最善のケアを提供することに尽力しました。
その後のメアリーの人生では、破産や困難な経済状況に直面しましたが、彼女の貢献を認めた人々が基金を設立し、支援を行いました。特に、ヴィクトリア女王自身も彼女の支援者の一人であり、メアリーの勇気と奉仕への感謝の気持ちを示しました。
メアリ・ジェーン・シーコールの業績は、彼女の生涯を通じて苦難と闘いながらも人々を救った姿勢が称賛されるものです。彼女の存在は、人道的なケアと公正な医療への取り組みを促し、今日の看護師たちに勇気と希望を与え続けています。
メアリ・ジェーン・シーコールは、その後の人生でも活躍し続けました。彼女は帰国後、自伝を出版しました。1857年に出版されたこの自伝は、混血の女性によるものとしては最初期の自伝とされています。自伝には、メアリーの経験や思考、医療活動に関する詳細な記述が含まれており、その存在と業績を後世に伝える重要な資料となっています。
また、メアリーは後にジャマイカに戻り、地域の医療や教育のために尽力しました。彼女は現地の病院や学校の設立や運営に携わり、地域の人々に医療や教育の恩恵をもたらしました。彼女の活動は、人々の生活の質を向上させるために積極的な役割を果たしました。
メアリー・ジェーン・シーコールは、ジャマイカとイギリスの両方でその勇気と奉仕の精神が讃えられ、彼女の名前は多くの記念碑や建造物に刻まれています。彼女は現代の看護師たちにとって、勇気や決断力、多様性への理解を示す重要な象徴となっています。
メアリーの生涯と業績は、人々に勇気と希望を与えるだけでなく、看護師としての使命感と責任を強化するものです。彼女の奉仕の姿勢と医療への情熱は、今日の看護の価値を再確認し、看護師たちの励みとなっています。
メアリ・ジェーン・シーコールの生涯は、困難な状況に直面しながらも、人々を救うために尽力し続けた不屈の精神を示しています。彼女の勇気と奉仕の姿勢は、看護師としての模範として称えられ、世代を超えて尊敬と感謝の念を受け続けています。
感護師つぼが好きなエピソード① 原色のナース服
メアリ・ジェーン・シーコールが独自のナース服を着用したエピソードは、彼女の個性と勇気を象徴するエピソードとして知られています。
当時の一般的なナース服は白や生成りが主流でしたが、メアリーはそこから一線を画する鮮やかな原色のナース服を着用していました。彼女は赤や黄色、青などの明るい色を多用し、戦場での看護活動を行う際にもこれらの色鮮やかな服装を身に纏っていました。
彼女のナース服には特別な意味が込められていました。明るい色彩は負傷者や病気の患者に対して希望と活力を与えると信じられており、彼女は戦場の暗く厳しい環境でさえも、少しでも患者の心を明るくするためにその服装を選んだのです。
また、彼女の原色のナース服は、彼女自身の個性や強さを表現するための手段でもありました。当時の社会では女性の役割や服装には厳しい規範が存在し、ナースたちも控えめで地味な服装を求められていました。しかし、メアリーはその規範に囚われることなく、自身の個性を大切にし、自己表現を行ったのです。
彼女の原色のナース服は、彼女の存在感を際立たせるだけでなく、患者たちに勇気や希望を与える重要な要素となりました。彼女の鮮やかな服装は、彼女が看護のみならず、人々の心に寄り添い、彼らを癒すことを目指していたことを象徴しています。
メアリ・ジェーン・シーコールの原色のナース服は、彼女の個性と看護師としての使命感を表現したものであり、彼女の看護活動において不可欠な要素でした。その鮮やかな色彩は、彼女の存在が戦場で負傷した兵士たちに希望を与え、明るさをもたらしたのです。そのため、彼女のナース服は彼女自身の勇気と奉仕の精神を象徴するシンボルとして、今日でも称えられています。
感護師つぼが好きなエピソード② お酒も飲める医療現場
メアリ・ジェーン・シーコールが提供していたお酒に関するエピソードは、彼女の看護活動におけるユニークな一面を示すものです。当時、彼女は戦場での看護活動を行いながら、食堂も経営していました。その食堂では、居酒屋のような雰囲気でお酒も提供されていたとされています。
彼女の食堂では、多くの人々が集まり、食事や飲み物を楽しんでいました。その中には負傷した兵士たちも含まれており、メアリーは彼らに対してお酒を提供していたのです。彼女は、負傷した兵士たちが戦場の苦難から一時的に解放され、心の癒しを得ることができる場を提供したかったのです。
しかしこのエピソードに関して、フローレンス・ナイチンゲールとの間には好ましくない感情が存在していたとされています。ナイチンゲールは、当時の看護師のイメージを改善し、清潔で規律正しい看護を推進することに尽力していました。一方で、メアリーが提供していたお酒や食堂の活動は、ナイチンゲールの理念とは一線を画していたため、彼女はメアリーの活動に対して抵抗を感じていたと考えられています。
ナイチンゲールは、ディケンズの小説に描かれるような「不潔でだらしない」看護師のイメージを払拭し、看護師の品位と尊厳を高めることを目指していました。そのため、彼女は自身の病院で働く看護師たちとメアリーの交流を積極的には取ろうとせず、メアリーの提供するお酒や食堂の活動には抵抗感を抱いていたとされています。
このように、メアリ・ジェーン・シーコールのお酒の提供に関するエピソードは、彼女の看護活動における個性とナイチンゲールとの対立を示すものとして注目されています。
