ごきげんさまです。感護師つぼ(@cango_shi)です。
看護師の可能性を拓くのに、すでに新しい道を切り拓いている方々の活動を知ることが第一歩だと思っています。
先日、こちらのブログでも紹介させて頂きました、訪問看護事務士育成事業の講師をつとめているリモートナーシングシステムで起業をしたアクティブライフ株式会社の代表取締役、永樂彩乃さんを取り上げます。彼女は、在宅医療看護介護の分野で課題を解決し、内部体制の構築と人材育成を専門とした会社を立ち上げて活躍しています。全ての訪問看護カルテを触って教えることが出来るという訪問看護電子カルテの世界では第一人者の永樂彩乃さんが、一般社団法人訪問看護支援協会とコラボレーションして訪問看護ステーション向けの教育支援プログラムを始めました。今回の記事では、彼女の略歴や活動について紹介します。
ちなみに、永樂彩乃さんと私の縁ですが、弁護士×看護師×参議院議員の友納りおさんと一緒に、デジタル×看護をテーマにインスタライブを実施した時に視聴してくださっていて、インスタライブ後にコンタクトしてきてくれたことが縁で仲良くさせて頂いています。
永樂 彩乃 (えいらく あやの)
【所属・肩書】アクティブライフ株式会社 代表取締役
【出 身】山口大学医学部看護学部
【臨 床】熊本大学病院新生児集中治療室
【資 格】看護師
【教 育】訪問看護請求業務研修講師、東京都新任看護師育成事業講師
訪問看護専用クラウド型電子カルテインストラクター、アドバイザー顧問兼任
【実 績】第8回女性起業チャレンジ大賞
第二回SDGsジャパンスカラシップ岩佐賞
ユニークキャリア
永樂彩乃さんは、山口大学医学部看護学部を卒業後、熊本大学病院新生児集中治療室で看護師として勤務しました。2018年に看護師向けコーチング事業を個人事業主で活動開始し、同年より病院勤務から訪問看護領域へ転職。その後、医療ベンチャー企業に事業立ち上げメンバーとして参画し、看護師の新たなキャリア形成や在宅医療介護のバックオフィスの立ち上げ、運営を行いました。
2021年に医療ベンチャー企業の正社員から独立し、行政や訪問看護ステーション向けアドバイザー、コンサル業を個人事業主仲間と立ち上げ、運営を行います。そして2022年、アクティブライフ株式会社を創立し、第8回女性起業チャレンジ大賞グランプリを受賞しました。
アクティブライフでは、在宅医療看護介護の分野での課題をICTと教育支援プログラムを活用し、内部体制の構築と人材育成を専門とした会社です。その第一歩として始めたのが、【訪問看護ステーション向け教育支援プログラム】です。現場の訪問看護師たちの過酷な労働環境や膨大な事務作業に対処するため、教育体
制の確立や内部構築のサポートを行っています。
訪問看護師は非常に責任重大な仕事であり、精神的ストレスや過重労働の現状、現場での教育体制の未成熟さ(OJTとOff-JTの構築)もあり、看護師が訪問看護師への就職を懸念してしまうのも無理はありません。しかし、永樂さんは、教育支援プログラムを通して、教育体制の確立や内部構築のサポートをしたいという想いを持っています。
彼女自身も大学病院で4年間勤務した後、訪問看護師へ転身しました。訪問看護師の絶対数は全国的に足りていない状況であり、多死社会である今、その需要はますます高まっています。昔は患者の家に看護師が定期的に訪問してじっくり時間を当てて看護を提供できていましたが、現在は看護師の訪問を必要としている人の数の急増もあり圧倒的に人手不足です。このような状況下で、看護師たちは最善の手段を駆使し、良いケアを提供したいという素晴らしい想いを持っています。
永樂さんは、訪問看護師への必須知識やノウハウの教育支援、新人看護師が実践力をつけられるためのリモートナーシングシステム(RNS)や、保育園での園児の健康管理や危機管理能力の向上を通じて貢献していきたいと考えています。また、社会に訪問看護という素晴らしいサービスを伝えていく必要があると考えています。これにより、住み慣れた場所で最期を迎えられる社会を創りたいと考えています。
さらに、在宅医療看護介護の分野に関してもう一つ考えていることがあります。それは、“在宅領域での医療提供レベルの一元化”です。地域差や制度の問題はありますが、日本全国に在宅療養が必要な人は月間約84万人もおり
、その数は右肩上がりの状況です。しかし、医療者の配置は地域差があり、人材採用倍率訪問看護ステーションの求人倍率は3.10倍と全職種で2番目に高いです(全職種の平均は1.17倍)。採用は加速し、採用された看護師を教育する体制が万全でないことと、現場が繁忙で新人看護師がすぐに独り立ちする現状があり、看護提供サービスの質の低下も懸念されています。
このような現状を改善すべく、訪問看護ステーションの内部の環境整備を行っていく必要性を永樂さんは感じています。また、在宅療養は看護師だけでなく、医師やケアマネジャー、相談員や介護士など多くのメンバーでチームを組みます。多くの患者に対し、質の担保や平等な医療介護支援がいきわたるような仕組み作りも重要だと考えています。
医療職者の人不足問題はすぐに解決されることではありませんが、少しずつでも着実に目標に向かって努力していくことが大切だと考えています。常に新しい視点を取り入れ、アイディアを創造し、在宅医療看護介護の業界の発展に貢献する会社に成長させるべく、永樂彩乃さんは日々努力しています。
永樂彩乃さんは、2018年から在宅医療看護介護のバックオフィスの立ち上げに数十か所で関わってきました。そして、2019年からは訪問看護業界の事務作業の効率化と適正化を推進するため、訪問看護事務業専門の研修講師として、これまで50ステーション以上の研修を実施しています。
永樂さんの実績は目覚ましいもので、年間1万件以上のレセプト点検を実施し、それによって最大1事業者あたり1,100万円の売上アップを実現しています。レセプト関連の相談件数は延べ4万件以上を経験しており、現在は訪問看護ステーションの業務構築と正しい請求業務方法を全国に伝えています。
彼女は「医療従事者の事務負担を軽減し、患者家族のケアに集中できる医療介護環境を実現する」という想いで日々活動しており、その経験を活かして訪問看護や在宅医療の分野において、更なる効率化や適正化を図っています。
アクティブライフ株式会社の取り組みや、永樂彩乃さんのユニークなキャリアは、今後の看護業界の発展にとって大きなインスピレーションとなることでしょう。訪問看護や在宅医療の分野が今後ますます重要になる中で、永樂彩乃さんのような先見の明を持った人材が活躍することで、患者やその家族にとって、より良いケアを提供できる社会が実現されることを期待しています。
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