ごきげんさまです。感護師つぼ(@cango_shi)です。
看護師の可能性を拓くのに、すでに新しい道を切り拓いている方々の活動を知ることが第一歩だと思っています。
今回は、急変対応.netのサイトを偶然みかけて、会ってみたい!とツイッターで呟いたところ、仁哉さん(@jinya0530)がすぐに紹介して頂き、今回オンラインインタビューさせて頂きました♪
急変対応というニッチな分野で、YouTubeチャンネル登録者数8380人というインフルエンサーでもあります!
万波 大悟 (まなみ だいご)
【所属・肩書】急変対応.net 代表
新松戸中央総合病院
救急看護学会、日本NP学会
【出 身】東邦大学佐倉看護専門学校、独立行政法人 大学改革支援・学位授与機構、
【教 育】東京医療保健大学 基礎看護学実習指導教員
【臨 床】東邦大学病院、千葉西総合病院
【専 門】救急看護
【資 格】看護師、診療看護師(NP)、元救急看護認定看護師、AHA-BLSコースディレクター
AHA-ACLSファカルティ(提携ITC:JSISH-ITC)、救急看護学会ファーストエイドインストラクター
日本救急医学会ICLSインストラクター
ユニークキャリア
看護師を目指したワケ
彼が看護師を目指すきっかけとなったのは、以前の職業である販売員としての経験でした。社会人としての経験を積んだ彼は、売り上げを追求する接客がメインの仕事に疑問を感じ始めました。彼は自身のスキルや資格、そしてデータが評価され、売上に左右されない職業を求めるようになりました。
その中で彼が選んだのが看護師という道でした。看護師として働くことで、彼は人々の生活に直接影響を与えることができると感じました。それは彼が高校生の頃に経験した入院生活が大きく影響していました。彼自身が患者として接した看護師の姿から、看護師の役割と可能性を強く感じ、自分自身もそのように人々の生活に影響を与える存在になりたいという思いを抱きました。
そして、彼は男性であることが看護学校に行く際の障壁になることはないと考えました。それは、彼が以前にレディース服の販売員として働いていた経験があったからです。そこでは主に女性客を相手にしていたため、彼は女性が多い職場環境に対する恐れや違和感を持つことはありませんでした。
その看護学校を選んだワケ
万波大悟さんが看護学校を選ぶ際の独特な視点は、彼の実用的で目的志向のアプローチを明らかにしています。
23歳、24歳という比較的遅い年齢で看護学校を受験する決意をした万波さんは、自分にとって最も合理的な選択をすることを重視しました。その結果、彼は数学の試験がない学校を選ぶことにしました。
これは単に数学が得意でなかったからという理由だけではありません。万波さんは、自分の夢を最短で叶えられる環境を選び、自分の強みや関心を最大限に活かすことができる教育環境を優先したのです。
万波さんの選択は、彼自身のキャリアビジョンと直結しています。看護師としての彼の目標は、人々に対する直接的なケアと支援であり、数学的なスキルよりも、人間性やコミュニケーション能力が重視される領域でした。
万波さんのこの決定は、自分自身の強みと弱みを理解し、それに基づいて最善の選択をするという彼の賢明さを示しています。それはまた、彼が看護師として成功するために、自身のパスを自分自身で形成し、自分の条件に合った教育を選択したことを示しています。
看護師キャリアを追求したワケ
万波大悟さんの看護師としてのキャリアは、様々な挑戦と進化の歴史です。最初の目指していた道は救命センターでしたが、自身の足の状態を考慮し、救急外来に進む道を選びました。その後、彼のキャリアは更に深化することとなります。
初めて万波さんが認定看護師という存在に気づいたのは、彼が救急外来に勤務を始めた時でした。認定看護師は特定の領域で高度な看護の実践能力と知識を持ち、医療チームの一員として患者やその家族の健康の回復と維持に寄与します。当初、万波さんは認定看護師に興味がありませんでしたが、彼が救急の現場で働く中で、認定看護師を持つ先輩からの影響や、その役割の重要性と自身のキャリアにおける可能性を認識しました。その先輩からの影響が大きく、万波さん自身も認定看護師を目指すことを決意します。彼はその資格を得ることで、救急の現場で更に深い貢献ができるようになりました。
そして次に、万波さんは診療看護師を目指します。診療看護師は医療行為を一部行うことが認められた看護師で、患者の診察や治療の補助、医師の指示に基づく医療行為を実施することができます。救急車対応を増やしたいと言うことを、一般の看護師がいっても病院には影響を与えられないと思った彼は、診療看護師となって、より自分の目指す医療体制をつくることを決意しました。
このように万波大悟さんの看護師としてのキャリアは、自身の挑戦と進化の連続です。それは、彼が看護師として自身の道を切り開くための探求と、彼が直面する医療現場の課題を解決するための挑戦から成り立っています。
ユニークキャリアを選んだきっかけ
「看護師は、命を救う仕事です。そのためには、いつでも準備が整っていなければなりません」と万波大悟さんは語ります。
急変対応.netの立ち上げに至った背景には、万波さん自身が臨床看護師として直面した課題がありました。救急外来に勤務していたにも関わらず、看護師として必須の緊急生命救助技術(ICLS)の講習を受けた時に、今まで触れてこなかった情報や技術に、彼は自分自身を見つめ直しました。その経験が彼を触発し、自らインストラクターとして働き始めるきっかけになったのです。
そして、彼がAdvanced Cardiac Life Support(ACL)のトレーニングを自分で開始することができると知った時、新たな可能性が見えてきました。ACLトレーニングには高額な費用がかかるにもかかわらず、より多くを学びたいと願う人々がいることに気づいたのです。
万波さんはテクノロジーを活用することが好きで、YouTubeやウェブを通じて情報を広めることに興味がありました。そこで彼は、これらのプラットフォームを利用してACLの情報を広めるプロジェクト、「急変対応.net」を立ち上げました。彼の独特な視点と熱意が詰まったこのプロジェクトは、多くの看護師に学びの機会を提供しています。
彼は「認定看護師の学校に通いながら、団体としての活動を開始しました。そして、最近では仲間が増え、ACLの活動をしたい法人に対して、各支援団体を立ち上げていくことができました。また、基本的な生命維持技術(BLS)を看護師から看護師へと伝えるための活動も始めました」と話します。
万波さんの目指すところは、臨床現場で予期せぬ急変が起こる際に、看護師が学びの機会を持つことができる環境を作ることです。「YouTube動画にすることで、看護師たちはいつでも緊急時に備えることができます。それが私の目標であり、急変対応.netの目指すところです」と彼は語ります。
万波大悟さんは自分の経験を生かし、看護師が一人でも多く緊急時の対応力を向上させるための環境を作ることに力を注いでいます。彼の活動は、看護師という職業のあり方や病院内での教育体制の改善に対する一つの提案と言えるでしょう。
彼が率先して行動を起こすことで、看護師の職業全体が向上し、結果的に患者へのケアも改善されることを期待しています。その一方で、自身が選んだ道がユニークであることを理解している万波さんは、「いつでも新たな挑戦を恐れず、学び続けることが大切」と語ります。
今後やりたいこと
看護師であり教育者でもある万波大悟さんにとって、彼の活動の舞台は二つあります。一つは、日々の臨床の場である新松戸中央総合病院、もう一つは、急変対応を広く普及させることを目指す急変対応.comです。
①病院での彼の目標は、診療看護師(NP:Nurse Practitioner)としてさらに上を目指し、国内トップクラスのNP団体を作り上げることです。「診療看護師としてのスキルや知識は無限に広がっている。私自身が成長し続けることで、新松戸中央総合病院が診療看護師の拠点となり、国内外から注目される病院にしていきたい」と万波さんは語ります。
診療看護師(NP) | 新松戸中央総合病院 (shinmatsudo-hospital.jp)
②一方で、彼が創設した急変対応.comでは、ACLS(Advanced Cardiac Life Support:高度心臓生命救命技術)の活動をさらに増やし、多くの看護師が急変時の対応を学べる環境を広げていくことが目標です。また、彼はNurseFoxx名義で、救急看護に使えるコンテンツの開発も積極的に進めています。「急変対応.comを通じてオフラインで学べる、そしてNurseFoxxでオンラインでも学べる。この二つの方法で、誰でもどこでも救急看護の知識を学べる環境を作っていきたい」と彼は語ります。
万波さんの挑戦はまだまだ続きます。彼の活動が、看護師の教育と現場でのケアの改善につながり、結果的には患者へのケア向上に貢献することを期待しています。
心に残る看護エピソード
今後に期待。 とのことですw
看護師へのメッセージ
急変対応の力で後悔を未然に防ぐ
「急変対応は、単なる技術や知識以上のものです。それは、命の尊厳を保ち、患者さんが調子を崩すことなく安心して過ごせる環境を提供するための重要なスキルです。急変対応を通じて得られる経験は、私たちが直面するエラーや失敗、そしてその後の後悔を大幅に減らす力を持っています。
しかし、そのスキルを身につけ、実践するためには適切なトレーニングが必要不可欠です。私たちは、何もせずにツライ思いをするよりも、まずは手を動かし、スキルを磨くことで後悔を未然に防ぎたいと願っています。私たちの使命は、看護師たちがそのような急変対応のスキルを身につけ、患者さんを守る力を増強できるように支援することです。
だからこそ、私たちはこのメッセージを伝えたいと思います。急変対応の力を信じて、適切なトレーニングを積むことで、私たちは患者さんを守り、看護の現場をより良いものにすることができます。」