ユニーク看護師 山本典子 グッドデザイン賞受賞 看護師社長

ごきげんさまです。感護師つぼ(@cango_shi)です。

看護師の可能性を拓くのに、すでに新しい道を切り拓いている方々の活動を知ることが第一歩だと思っています。

先日、グッドデザイン賞を受賞したナースを紹介する講演をさせて頂きました。自分の中では、彼女たちに憧れてグッドデザイン賞を受賞しにいったので、知られていなかったことが寂しかった。なので、ちょっとグッドデザイン賞受賞ナースを紹介していきたいと思います。

今回は、ご自身でグッドデザイン賞受賞した作品を、開発販売もされている山本典子さんです!

2023/10/03 再会につき加筆。2022年グッドデザイン賞再受賞関連を加筆しました。

写真は、会社のサイトから拝借

山本 典子 (やまもと のりこ)

【所属・肩書】株式会社メディディア 医療デザイン研究所 代表取締役

【出 身】大津市民病院付属看護専門学校
【臨 床】
【専 門】小児、母性、救急
【資 格】看護師、救急救命士・保育士・福祉住環境コーディネーター
【実 績】グッドデザイン賞(2007年、2010年、2013年、2022年)、キッズデザイン賞受賞
JIDAデザインミュージアムセレクション(2015年)
未来を創る日本女性10人選出(2015年),新日本現代デザイン100選

ユニークキャリア

山本典子さんは、看護師と救急救命士として7年間、京都の総合病院に勤務した後、寿退職を選択します。その後、4人の子育てと専業主婦として7年間を過ごしましたが、ご主人の郷里である福井へ移住したことで生活が大きく変わります。

福井では共働きが一般的な環境だったため、山本さんは看護師としてのキャリアを再開し、福井県済生会病院に復帰します。しかし、7年のブランクがあるにも関わらず、臨床現場は何も変わっていないことに驚きを覚えました。

特に、看護師が埃だらけのサージカルテープをむき出しのまま持ち歩き、そのテープを手でちぎって患者さんに貼付するという一連の流れに、問題があると感じたのです。山本さんはこれを受けて、様々な人たちに相談をしました。そして、最終的に自分で製品開発をすることを決心します。

この経験が、後の山本さんのキャリアに大きな影響を与えました。彼女は自分の経験と専門知識を活かし、医療現場の課題を解決するための製品を開発することに力を注ぐようになります。それは、看護師の視点から生まれたユニークなアイデアとデザインが、新しい医療サービスの提供、そして医療現場の改善につながることを意味しています。

山本さんの道のりは、彼女が選んだ理由が明確であることを示しています。それは、医療現場の現状を改善し、医療従事者と患者双方にとってより良い環境を提供するという、大きな目標を達成するためのものです。

ただ開発しただけでは、医療界は変わりません。

山本典子さんの起業家としての旅は、商工会議所への相談から始まりました。そこでインキュベーションマネージャーの指導を受け、ビジネスプランを策定しました。彼女の目標は明確でした:看護師としての経験を活かし、医療現場の課題を解決する新しい製品を開発すること。しかし、その達成には資金が必要でした。

資金調達のため、山本さんは国の支援事業の助成金を調査しました。そして独立行政法人中小企業基盤整備機構のベンチャー支援企業に応募し、その過程で見事採択されたのです。

しかし、この支援を受けるためには、会社設立が条件でした。それがきっかけとなり、山本さんは「株式会社メディディア医療デザイン研究所」を立ち上げました。

メディディアは、山本さんのビジョンを現実にするためのプラットフォームとなりました。彼女のアイデアと経験が融合し、新しい医療製品の開発に繋がることを目指しています。

その後開発したサージカルテープカッター「きるる」は2007年以降、グッドデザイン賞やキッズデザイン賞を受賞し、2015年にはJIDAデザインミュージアムセレクションに選定されました。また、木製の点滴スタンド「feel」も同様にグッドデザイン賞やキッズデザイン賞を受賞し、JIDA デザインミュージアムセレクションに選ばれ永久保存品となりました。

メディディアが目指すのは、医療・看護・介護の環境が安心・安全・快適になるようホスピタリティあふれる空間のデザイン。山本さんの創意工夫が生んだ製品には、「全方位ハンドル」や「ラウンドレッグ」など、患者だけでなく医療従事者にとっても快適な環境を提供するためのアイデアが盛り込まれています。

看護師としての経験を活かした山本さんの活動は、2015年には未来を創る日本女性10人に選定され、多くの講演を行い知識を共有するなど、広範にわたっています。彼女の取り組みは、病室やナースステーションなど、医療従事者にとっても職場環境が快適にデザインされることの重要性を認識させ、医療デザインの新たな可能性を追求しています。

「こどもにやさしいものは大人にもやさしい」をモットーに、病院での時間を過ごす子供たちがすこやかに育つ環境を整えるため、山本さんとメディディアのチームは今後も医療デザインの新領域を探求し続けます。治療に必要な機能性はもちろんのこと、患者さんが心地よく感じ、安心できる空間作りに配慮したデザインは、子供たちだけでなく、大人の患者さんにもやさしさを提供します。

患者さんだけでなく、医療従事者にとっても職場環境が改善されることは、全体的な医療サービスの質を向上させます。山本さんの考え方は、医療機器を使う側、装着される側の視点で直接見直し、デザインの力で医療現場をより良いものにするという視点を示しています。

山本さんが作り上げた製品の中には、未来の医療現場を想像し、現状の課題を解決するためのアイデアが詰まっています。これらは彼女が看護師として過ごした日々から得た経験と知識、そして医療現場での視点から生まれたものです。

山本さんの行動は、医療現場での視点がどれほど価値あるインスピレーションを提供できるかを証明しています。デザインは形状や色だけでなく、その使用環境や使用者の経験を改善する手段でもあります。山本さんはこれら全てを考慮に入れ、患者さんや医療従事者がより快適に過ごせる空間を創り出しました。

これからも山本典子さんとメディディア医療デザイン研究所は、看護師の視点から生まれたユニークな発想とデザインで、新しい医療サービスを提供し続けるでしょう。それは、ただ新しい製品を生み出すだけでなく、医療現場の現状を根本から改善し、医療従事者と患者双方にとってよりよい環境を提供するという、大きな可能性を秘めています。

山本さんの経験は、看護師から起業家への道のりが一歩一歩進んでいることを示しています。それは、様々な困難に直面しながらも、目的を達成するための方法を見つけ出すという、起業家としての資質を示しています。今後、山本さんとメディディアが医療界にどのような影響を与えるか、楽しみに待ちたいと思います。

作品

看護学生実習用ノート

グッドデザイン賞2007年受賞 サージカルテープきるる

グッドデザイン賞2010年受賞 点滴スタンド feel div STAND

https://www.medidea.co.jp/works/feel.html

グッドデザイン賞2013年受賞 点滴スタンドディーボ

グッドデザイン賞2022年受賞 乳幼児健診メジャー メモるん

https://www.medidea.co.jp/works/measure.html

公式アカウント

https://www.medidea.co.jp/

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