ごきげんさまです。感護師つぼ(@cango_shi)です。
看護師の可能性を拓くのに、すでに新しい道を切り拓いている方々の活動を知ることが第一歩だと思っています。
先日、東京都看護連盟の取材を受けました。その時に、私は、メイヨークリニック病院のように、病院は知財などをもって診療報酬以外の収入を増やさなければ、採用も昇給もままならない時代が来ると宣言してしまいましたw
海外の病院の事例だと対岸の火事かもしれないですが、日本でも実際に組織内起業(イントレプレナー)を実践したナースがいるので今回とりあげました。関西電力でイントレプレナーを実践した柴田 敦巨さんです!
2023年7月31日に小野薬品工業株式会社100%子会社である株式会社michiteku傘下に入ったので記載更新しました。
写真は猫舌堂オフィシャルサイトより拝借
柴田 敦巨 (しばた あつこ)
【所属・肩書】猫舌堂 代表取締役
株式会社michiteku 猫舌堂ブランドマネージャー
【臨 床】関西電力病院
【資 格】看護師
【実 績】関西電力の社内ベンチャー制度「かんでん起業チャレンジ」
ユニークキャリア
柴田敦巨さんは、看護師として24年間、関西電力病院に勤務しました。40歳で耳下腺がんを経験し、その後の手術と化学放射線治療から顔面マヒが残り、食事に苦労することとなりました。この経験が後の彼女の生涯を大きく変えることになります。
「生きることは食べること」というコンセプトを胸に、食事に困難を抱える人たちに向けたサービスを提供するため、関西電力の社内ベンチャー制度「かんでん起業チャレンジ」を利用し、2020年に「猫舌堂」を設立しました。オリジナルのカトラリーの開発・販売や、同じ悩みを抱える人々が集うコミュニティの運営を行っています。
猫舌堂の商品開発は「ピアメイド®」、つまり「当事者による作り手」の視点が特徴です。福祉用具として機能的に食事がしやすいカトラリーは多く存在しますが、特定の機能に特化し過ぎてしまい、使いにくいものもまた少なくありません。また、見た目が幼児用のスプーンであったり、洒落ていなかったりすると、一緒に食事を楽しむ気持ちになれないという声もありました。がん治療の後遺症などで食事に困難を経験した柴田さん自身の目線から、社会に溶け込むデザインを意識した商品づくりを行い、生きる喜びを感じられるきっかけを提供したいと願っています。
起業の経緯を聞かれると、柴田さんは「元々、起業するつもりはなかった」と語ります。ただ小さな喫茶店を開き、人々が気軽に話せる場を作りたいと思っていたのです。そんなときに関電グループの「起業チャレンジ制度」の存在を知り、このチャンスに応募しようと考えました。この大胆な決断が、彼女の人生を新たな道へと進めるきっかけとなったのです。しかし、起業への道は決して平坦ではなく、応募フォーマットに書いてある用語の意味さえ分からないなど、数々の困難に遭遇しました。
それでも、彼女の想いに賛同してくれる仲間たちの助けを得ながら、柴田さんは挑戦を続けました。そして、看護師としての経験と、自身の経験から生まれた想いを基に、「猫舌堂」は誕生し、多くの人々に支持される存在となりました。これまでの経験から、彼女は「一度きりの人生、大胆に踏み出せ!」というメッセージを伝えています。
今、柴田さんが率いる「猫舌堂」は、食事に困難を抱える人々が自信をもって食事を楽しむためのツールを提供し、その人々が集い、繋がるコミュニティを運営しています。彼女の経験と情熱、そして看護師としての視点が、新しい社会的価値を創出し続けています。これからも柴田さんの挑戦に期待が集まるとともに、彼女が見つめる「生きることは食べること」の理念に共感する人々が増えていくことでしょう。