ごきげんさまです。感護師つぼ(@cango_shi)です。
看護師の可能性を拓くのに、すでに新しい道を切り拓いている方々の活動を知ることが第一歩だと思っています。
看護師の可能性を拓く手段の一つが看護デジタルトランスフォーメーションだと思っています。ただ、いろんなものがあって分からない。。。ってのがあったので、看護現場におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し、未来の看護のあり方を模索することを目的とした「看護DXアワード2025」を、ナースまつり実行委員会、株式会社S.U.N.と共に開催してきました。
本アワードの表彰式は、2025年7月17日(木)に東京ビッグサイトで開催された「ナースまつり2025」内にて執り行われました。

開催の目的と意義
看護DXアワード2025は、2019年から2023年まで開催されていた「看護の先進事例アワード」(日本看護協会主催、厚生労働省予算)の精神を引き継ぎ、看護師のためのDX推進を目的として創設されました 。一般社団法人日本男性看護師會は、年間40回近く各都道府県看護協会や看護連盟・医学会や医療法人にて看護DXに関して講演をさせて頂いています。その際に、新しいDXサービスが次々と登場する中で、看護現場がどのサービスを選べば良いか迷うという課題に対し、本アワードは未来の看護を選ぶための羅針盤となることを目指しました。
本アワードは、単なるデジタルツールの導入に留まらず、看護業務の効率化、質の向上、そして看護師全体の働き方改革に貢献する、真に看護師が主体的に推進するDXを加速させることを目的としています 。
審査体制と基準
審査は、看護界の課題と未来の専門家として、厚生労働省看護課課長補佐を長年務め、最近では看護経済・政策研究会の大会長を務められていた神奈川県立保健福祉大学教授の石原美和氏 、看護現場での生成AI活用指南の専門家として株式会社S.U.N.代表取締役の宮田俊氏、そして当会代表理事である坪田康佑、によって下記6つの視点を元に客観的かつ厳正に行われました。
審査基準は以下の6つの点を重視しました:
- 看護の課題解決
- 楽になる看護師の数
- 楽になる看護管理者の数
- 楽になる患者の数
- 期待性
- 持続可能な収益性
受賞事例
厳正な審査の結果、50を超えるサービスの中から、最終的に11のサービスが表彰されました 。
主な受賞事例は以下の通りです。
- ①最優秀賞: イノシア Team COMPASS
- ②坪田特別賞: 株式会社ゼスト の収益改善プラットフォーム「ZEST」
- 訪問ルートの自動作成から稼働率向上、採用・定着支援、営業効率最大化までをサポートする仕組みが評価されました 。多くの訪問看護カルテとの連携も特徴です 。
- ③S.U.N特別賞(音声入力賞): Notta株式会社 のAI文字起こし・議事録サービス「Notta」
- 院内カンファレンスや申し送り、多職種連携会議などでの会話を高精度でリアルタイムに文字起こしし、自動で要約する機能が評価されました。これにより記録業務の負担を軽減し、看護師が患者ケアに集中できる時間を創出します。
- ④石原特別賞:遠隔リハビリサービスのEvoCareJapan
- ⑤Home Nursing賞: 株式会社eWeLL の訪問看護専用電子カルテ「iBow」
- 訪問看護計画書や報告書を生成AIが自動作成する機能が評価され、訪問看護業務の効率化に大きく貢献しています 。
- ⑥Safety賞: 株式会社XaXaXa の在宅ケアスタッフ連携アプリ「クルサ」
- カスタマーハラスメント対策として、現場から簡単にヘルプを出せる携帯アプリで、年内サービス提供予定です 。
- ⑦Task Shifting賞: 株式会社ConeXi のジョブ型マッチングサービス「chokowa」
- スポットでの働き方を通じて訪問看護ステーションと看護師がお互いを理解できるため、転職前のお試しサービスとしても進化しています 。
- ⑧Education賞: 一般社団法人訪問看護支援協会 の「訪問看護DX講座」
- 訪問看護師向けのオンラインDX講座で、人材開発助成金を活用することで実質無料で研修が受けられる点が評価されました 。
- ⑨Hospital spin-off賞:特定医療法人谷田会 谷田病院「GORDIAN」
- 病院が自ら開発した勤務シフト作成ソフト
- ⑩Gen-AI賞:ユビー株式会社
- 看護記録生成AI
- ⑪Innocation賞:株式会社Vitaars
- 遠隔ICUの診療報酬の仕組みを作った遠隔ICUサービス会社
今後の展望とDX化相談サービスの開始
今回の看護DXアワード2025を通じて、多くの先進的な取り組みが発掘され、その知見を共有できたことは、日本の看護DXをさらに加速させる上で大変意義深いものでした。表彰式では受賞者による貴重な事例発表も行われ、今後も看護DXや看護師の生成AI活用に関するセミナーなど、学びと交流の機会が提供されていきます。
一般社団法人日本男性看護師会は、DX推進に関する情報提供や事例共有の場を積極的に設け、男性看護師が医療現場で最大限に能力を発揮できる環境づくりに貢献してまいります。DX化は単なるデジタルツールの導入ではなく、組織全体のビジネスモデルや業務プロセスを根本から変革し、新たな価値を創出する「全体最適」を目指す経営戦略です。経営層のコミットメントが不可欠であり、優れたDXサービスを賢く組み合わせることで、よりスムーズに業務の再構築を進めることができます。
このアワードで得られた知見と、受賞された素晴らしいDXサービスをさらに多くの医療機関に広めるため、日本男性看護師会は、この度、受賞先のサービス紹介に加え、各医療機関の具体的な状況に応じたDX化の相談サービスを開始することにいたしました。
どのDXサービスを導入すれば良いか迷っている、自院に最適なDX推進の進め方を知りたいといったご要望に、専門家が寄り添ってアドバイスを提供いたします。お気軽にお問合せください。