ごきげんさまです。感護師つぼ(@cango_shi)です。
看護師の可能性を拓くのに、新しい道を開いている人たちだけじゃなく、可能性を閉じさせないためにも、可能性が壊れてしまった事例を知ることも大切だと思っています。
訪問看護事業を提供していた山梨県甲府市の「CareSeed合同会社」が運営する「訪問看護ステーション ここれ」の指定が、看護師人数の不足と偽装申請のために取り消されました。この事件はNHKの特集に取り上げられ、全国的に注目を浴びています。
山梨県の介護サービス情報公表システムによると、同ステーションには4人の常勤看護師が存在し、17名の利用者がいましたが、一年後の2023年6月6日に指定が取り消されました。同ステーションは2022年5月に、市の条例が定める看護師の基準を1人満たさない状態で、基準を満たしているという偽装申請を行い、訪問看護事業を開始していたことが市の調査で明らかになりました。
CareSeed合同会社
https://careseed.jp/
創業:2021-06-18
移転:2022-01-04
訪問看護ステーション ここれ
〒400-0851
山梨県甲府市住吉5丁目3ー17 JI甲府第一マンション101
Tel:050-8882-9822/Fax:055-213-5959
同ステーションは2023年5月8日に市に事業所を廃止する届け出を行いました。そのため、現在はすでに利用者は別の事業所に移っています。市はこの事業所に支払った介護報酬の額を算出し、代表者に返還を求める方針を示しています。
この事件は、厳しい看護師不足という社会的な問題の背景下で発生しました。訪問看護事業の適切な運営と信頼性の確保、そして労働環境の改善が求められています。
訪問看護ステーションの設立には最低でも2.5人の看護師の採用が必要とされています。しかし、初期の人件費が高いため、看護師の名義を借りて事業所を開設するケースが多いと指摘されています。
内部告発によりこの問題が発覚したと推測されていますが、訪問看護事業が約1年間提供されてからの行政処分という結果は、許認可を出す行政機関が十分な審査能力を持っていない可能性を示唆しています。
また、このケースでは事業所が行政処分前に自主的に廃止を申告していたため、利用者に返還を求められる可能性が出るという問題は生じませんでした。しかし、事業所が廃止されていない状況で行政処分が行われた場合、財源の確保が困難となり、事業所の即時廃業につながる可能性があります。
訪問看護ステーションの設立に関する法規制は再考の余地があるとの声も上がっています。現行の制度では訪問看護ステーションを設立するには最低でも2.5人の看護師が必要ですが、医師の開業は1人でも可能です。これに対する批判が存在し、制度の見直しを求める動きが広がっています。
今後、訪問看護ステーションの許認可に関するプロセスを見直すべきか、あるいは医師と同様に1人でも訪問看護ステーションを開業できるように規制を見直すべきか、さまざまな議論が必要となっています。
この事件は、看護師不足という深刻な問題と訪問看護事業の運営に関する課題を浮き彫りにしました。今後の対応と改善策に注目が集まっています。